2010/04/18

Travelling miles.

THE LAST ELECTRO-ACOUSTIC SPACE JAZZ & PERCUSSION ENSEMBLE
"Miles Away" (Stones Throw) ★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

ザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブル。まぁ、何だか偉く長くて大袈裟なユニット名だけど、これはマッドリブのジャズ・プロジェクト。'ハーデスト・ワーキング・マン' って言えばもちろん JB のことだけど、ヒップ・ホップ・シーンの 'ハーデスト・ワーキング・マン' は間違いなくマッドリブ。ブッチャけ、関連音源をフォローするだけでも結構大変だったりするくらい。まぁ、これまでにも書いてるように、マッドリブって、個人的にはちょっと掴みどころがないっていうか、多作ではあるけど、正直、それほど打率は高くないって印象もあったりして。でも、このザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブルは個人的にかなりツボなんで、結構期待値は高かったんだけど、期待に違わぬ出来映えだった。

ザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブルってのは、もともとマッドロブのジャズ・プロジェクト、イエスタデイズ・ニュー・クインテットから発展したユニットらしくて、2007 年にイエスタデイズ・ニュー・クインテットの "Yesterdays Universe" リリース時にストーンズ・スローのファンクラブ(?)向けに配られて、後にチラッと流通した(っぽい? 正規リリースだったのかはナゾ)"Summer Suite" とその続編の "Fall Suite" が素晴らしかった(なぜか "Summer Suite" だけは iTunes Store で売ってる。なんで "Fall Suite" は売ってないんだ?)んで、それ以来、気になってたユニット。そんなザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブルがオフィシャル・リリースしたアルバムがこの "Miles Away" だ、と。まぁ、それだけで十分気になる。ちなみに、タイトルから想像できる通り、マイルス・デイヴィスからインスピレーションを受けてる 1 枚だとのこと。

"Summer Suite" と "Fall Suite" はそれぞれ約 40 分の 1 曲のみっていう、まさに 'suite'(組曲)だったんだけど、この "Miles Away" はオーソドックスな 10 曲入りのアルバムで、"Tones For Larry Young" だの "Mystic Voyage (For Roy Ayers)" だの "The Trane & The Pharoah (For John Coltrane & Pharoah Sanders)" だのって曲名から解る通り、偉人たちへのリスペクトをディープなサウンドで表現したスピリチュアルな 1 枚で、安直なことを承知で敢えていっちゃうと 'electro-acoustic space jazz & percussion ensemble' って名前に相応しいサウンド。細部まで作り込まれてて壮大なアルバムに仕上がってる。アートワークもいい感じだし。

まぁ、コンセプトだけ見ると、これまでに何度も取り上げてるカルロス・ニーニョビルド・アン・アークと共通する部分もある感じがするけど、それぞれアプローチは違ってて、どちらもなかなか興味深い。まぁ、どちらかというと、このザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブルのほうが、いわゆる 'スピリチュアル・ジャズ' って言葉から想像するところのサウンドには近いイメージかな。直球勝負というか、マッドリブが 2004 年にモンク・ヒューズ & ジ・アウター・レルム名義で故ウェルドン・アーヴィンに捧げた "A Tribute to Brother Weldon" の延長線上的な印象というか。"A Tribute to Brother Weldon" も長年の愛聴盤なんで、当然、このザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ & パーカッション・アンサンブルもお気に入り。おそらく、iPhone 内に常駐することになりそう。

ありきたりな表現を使っちゃえば、スペーシーで、アフロで、フューチャリスティックで、スピリチュアルなジャズみたいな言い方になっちゃうし、サウンド自体は難解っていえば難解なんだけど、まぁ、要するに、個人的にはメチャメチャツボなんで。こういうのが。しかも、いわゆる、もっとキチンとした(っていうのか?)最近のジャズの若いアーティストが作ったこの手のモノより、マッドリブやカルロス・ニーニョが作るモノ、つまり、レコード店のジャズ・コーナーに置いてないようなアイテムのほうがシックリくるし、よっぽどジャズを感じるから不思議。それほど熱心に最近のジャズを追いかけてるわけではないんだけど。

まぁ、あとは、同じくお気に入りの 'suite' シリーズの春と夏をリリースして欲しいもんだ。



THE LAST ELECTRO-ACOUSTIC SPACE JAZZ & PERCUSSION ENSEMBLE "Mystic Voyage (For Roy Ayers)" (From "Miles Away")
 









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