2008/08/11

An inconvenient truth.

『成長の限界』 
 ドネラ・H・メドウズ / デニス・L・メドウズ / ジャーガン・ラーンダズ / 
 ウィリアム・W・ベアランズ III 世 著 大来 佐武郎 監訳  
(ダイヤモンド社 Link(s): Amazon.co.jp
 

夏になると古典を読みたい気分になるのは夏休みの読書感想文の影響なのか、なんか、暑い夏の夜に、ちょっと小難しい本を頑張って読んだ記憶がけっこうあって、それは決して悪い印象の記憶じゃなかったりする。そんなわけで、今年の夏は、1972 年に発表されたローマ・クラブが発表した報告書であり、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』、E・F・ シューマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』と並ぶ環境問題関連書のクラシックと評される一冊を選んでみた。

内容は、ローマ・クラブの依頼で MIT を中心とした国際チームが調査した研究をまとめたもので、人口増加や環境破壊、エネルギー問題等、現在にもつながる問題に関して世界的な規模で大きく警告を発した一冊(原題は "The Limits to Growth: A Reports for THE CLUB OF ROMA's Project on the Predicament of Mankind")で、サブ・タイトルには「ローマ・クラブ 人類の危機レポート」と付いてる。

 システム・ダイナミックスの手法を用いて、具体的な数字とともに示されてる論旨はなかなか過激な内容で、発表当時には相当大きなインパクトがあったことは今、読み返してみても容易に想像できる。もちろん、時代背景的にはまだまだ社会主義 / 共産主義にリアリティ(=目の前に冷戦という安全保障上の大きな問題)があった時代だったりするし、具体的な数字に関する誤差も多いんだろうけど、その根底にある本質的な問題に関しては、ビックリする(同時に呆れる)くらい何も変わってない。

もちろん、ローマ・クラブ自体、ちょっと胡散臭いっつうか、諸手を上げて鵜呑みにするほど共感ができるわけではないけど、この時期に、この内容を、この規模で発表したことの歴史的な意義は大きいし、同時に、決して過去の出来事ではなく、現在につながる問題に関する考え方のルーツのひとつとして、やっぱり知って(読んで)おいていい本のひとつであることは間違いない。

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